俯く人が隠すのは涙よりも目のありか
すれ違って怖くなる
自分という物質の正体を知られてしまうことが
悲しみより先に痛みが来るのは
遅延性の鈍さを兼ね備えているからでしょう
鋭さに気づかぬほど鈍感でもないから
刺さった針の存在を
無視するくらいの覚悟を持って
生きようと血を拭った
わたしが世界を手放すときに
気づく痛みが悲しみで
私が世界を手に入れたときに
気づく痛みが喜びで
ほどけた靴紐を結んで
またほどいた
あの夜に浴びた光を
ずっと握りしめている
みせかけの光になれるなら
自分という物質の正体を愛せなくても
生きられる